再奥


その二人が店に来たのは、予約の時間ぴったりだった。

「いらっしゃいませ。ご予約の竜崎【りゅうざき】様ですね?」

「はい」

背の高い青年の傍らに、長い黒髪の娘がいる。

少女と言っても良い年齢かもしれない。

兄妹という可能性もあるが、雰囲気からして恋人同士だろう。

窓際の席に案内してメニューを置きながら、思い切って尋ねてみる。

「あの、もし違っていたら申し訳無いのですが……。以前にも当店へお越し下さいましたか?」

「あ、はい。予約を入れたのは今回が初めてですけど。何度か来た事がありますよ」

青年は人好きのする笑顔で続ける。

「覚えていてくれたんですか。最近はあんまり来ていなかったのに」

「蒼【あおい】が目立つからじゃない?」

少女が口を開いた。

見た目とは裏腹に、落ち着いた大人びた声の響きだ。

「そうか?有り難う」

「別に褒めてないからね」

仲良く会話を交わす二人から注文を聞いて厨房へと戻る。

- 205 -







[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet