怪異


車に乗り込んでから、助手席に座った桔梗に告げる。

「必要な局面になるかは分かりませんが、まずは君の部屋に行って刀を取って来ましょうか」

「あ、はい。分かりました」

「これからは、僕の車に積んでおいても良いかもしれませんね」

言いながらハンドルを切る。

駅から桔梗の住むアパートまでは、車なら10分もかからない。

その後怪異の情報があった場所に向かっても、そんなに遅くはならないだろう。

頭の中で地図を思い浮かべていると、桔梗が控え目に口を開いた。

「私、少し安心しました」

「何がです?」

「賢木さんは、一人で戦いに行っちゃうんじゃないかと思っていたので」

その言葉に、前を見たまま苦笑を浮かべる。

「失礼ですね。僕は嘘をついたりしませんよ」

「……そうですよね。すみません」

それきり会話は途切れたまま、桔梗の住むアパートに着いてしまった。

前に車を停めると桔梗は助手席から降り、すぐに細長く黒いバッグを抱えて戻って来た。

「通販で買いました。持ち歩くにはあった方が良いかと思って」

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