秋が来ると、どうしてか空を見上げる。

秋になると、どうしてか紅く染まった木の葉を探す。

高い空が、冷たさの混ざった風が、はらはらと舞う紅が。

理由も分からないままに胸を騒がせるから。

秋は、苦手な季節だ。

溜息をついてコートの襟元を直す。

秋は、日が暮れるのも早い。

暗くなり始めると、急に寒さが肌に染みる。

家に帰る足を速めた時、風に舞う紅が視界に入り込んだ。

ひとひら舞い落ちた木の葉が来た方へ目を向ける。

こんなにも、胸が静かに騒ぐのは何故。

分からない。

分からないけれど。

まるで何かに呼ばれるように、体の向きを変えていた。

紅の葉が舞って来た方へと歩き出す。

足を踏み出す度、積もった枯れ葉がさくさくと音を立てる。

そういえば、秋は苦手なのに。

この音は、昔から好きだった。

そんな事を取り留めも無く考えていると、先に立つ人影に気付いた。

紅に染まる並木道、一人で佇む青年。

辺りが暗く、顔は良く見えない。

けれど、どうしてだろう。

このまま通り過ぎてしまってはいけない気がした。

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