距離
いつものように妖魔を倒した後、桔梗の携帯が鳴った。
「あ、すみません」
謝ってから、届いたメールを確認する。
「急ぎの用ですか?」
「いいえ、高校の時の友達です。明日の同窓会の事で」
「同窓会ですか。楽しそうですね」
そう言うと、桔梗はメールを打ちながら苦笑した。
「私、そういう賑やかなところが苦手なので。最初は行かないつもりだったんですけど。でも、この友達が来るので」
「最近は会っていなかったんですか?」
「はい。この娘は高校を出てすぐに引っ越したんです。後から聞いたら、好きな人に会いに行って、一緒に住む事になったらしくて。驚きました」
メールを返信し、コートのポケットに携帯を仕舞って続ける。
「昔から、大人っぽい娘だったんですけどね」
それは桔梗も同じだっただろう。
そう思いながら、微笑んで言う。
「楽しんで来て下さいね、桔梗さん」
「はい。あ、でも」
急に表情を引き締めて、こちらを見上げる。
「戦う事になったら呼んで下さい。駆け付けますから」
「分かっていますよ。本当に君は真面目ですね」
もしも桔梗に黙って戦ったりしたら、後で何を言われるか分からない。
苦笑を浮かべて安心させるように重ねて言う。
「何かあった時には連絡をします。ですから、君は楽しんで来て下さい。久し振り友達と会えるんでしょう?」
「はい。有り難うございます」
桔梗の笑顔を見て、ふっと息をつく。
楽しんで来てほしい。
いつも働いて戦って。
忙しい毎日を送っているのだから。
心から楽しんで、笑っていてほしい。
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Reservoir Amulet