兆し.27


静嵐の前では普段決して見せない雰囲気に、何故か放っておいてはいけないという気がした。

でもそれと同時に、こんな姿をこの強い少女は見せたくなかっただろうとも思った。

特に、自分には。

結局静嵐は音を立てないよう静かに部屋に戻った。

少し経ってから霄瓊も入って来たが、その様子があまりにいつも通りなので、逆に落ち着かない気持ちになった。

心は静かなままで、顔も微笑んでいるのに何かが違う。

それは霄瓊が変わったのか、それとも自分が変わったのか。

日常の何気無い営みを繰り返しながら、少しずつ何かが変わり。

それぞれに思いを積み重ねて。

やがて芽生える、変化の兆し。





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