クリスマス.19


敢えて理由を探すなら、この少女にこんな表情は似合わないと思うからか。

何が起きても受け止められるよう覚悟を決めた者の。

絶望の闇も嘆きの海も、死の淵にさえも触れて来た者のような。

その最果ての静けさを映したような瞳を、この娘は時折見せる事がある。

何かの間違いだとは思うけれど。

静嵐は霄瓊から目を逸らし、テーブルの下に置きっ放しにしていた箱を手に取った。

無言のまま、それを向かいに座る霄瓊に差し出す。

「静嵐?何ですか、これ。やけに可愛い包みですね」

訝しげに訊かれて、箱を更に突き付ける。

「さっさと受け取れ。お前の物だ」

「は、はい」

霄瓊が慌てたように頷いて受け取り、静嵐を見る。

「あの、開けても良いでしょうか」

「お前の物だ。好きにしろ」

プレゼント用に包装された箱を開けた霄瓊は、驚いたように息を飲んだ。

そこにあったのは、細い鎖で繋がれた寄り添う一対の翼。





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