報いの雨.02


まだ崩れていない建物の方へと進んで行く。

激しい倒壊の中、そのビルだけはまだ原型を留めていた。

こうして外を歩いていると、此処で人が暮らしているとはとても思えない。

それでも人々は生きているのだ。

自然が自分達に牙を向ける環境でも、身を寄せ合いながら。

ビルの中に入っても、大きな瓦礫が通路を塞ぐように転がっている。

その間を縫いながら奥へと歩いて行くと、不意に人の気配がした。

「おっ、誰かと思ったら静嵐と霄瓊ちゃん!」

周囲の雰囲気におよそ似合わない脳天気な声と共に現れたのは、静嵐と同じ年齢位に見える若者だった。

「こんばんは、湧碕【ようき】さん」

霄瓊が礼儀正しく頭を下げると、湧碕は気さくに笑う。

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