聖女の祈り.21


少しでも、一緒にいられない間の寂しさを紛らわせてあげたくて。

次に訪ねた時に、頼まれた食材と共にエプロンや色鮮やかな調理道具を持って行った。

それを見た霄瓊は目を丸くし、こちらまでつられて笑顔になってしまう位歓んでくれた。

彼女の病室の隅に備え付けられている小さなキッチンスペースに立ち、楽しそうに料理を作る姿は本当に生き生きとしていて。

出来上がった料理がどんな物でも、美味しく食べられた。

「……すみません。あの、無理しないで下さい」

落ち込みながら、霄瓊が謝る。

「私、お料理するのは初めてで……。お料理番組を見て研究していたんですけど、実際に作るのはやっぱり難しいですね。ごめんなさい。折角、色々買って来て頂いたのに」

「謝るな。これから練習して行けば良い」

柔らかな髪を撫でて言うと、霄瓊は少ししてから微笑んだ。

「はい。有り難うございます」

穏やかに流れた二人の時間。

それは確かに、至福の一時だった。





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