聖女の祈り.20


そしてその後も、密やかな逢瀬は続いた。

しばらくすると霄瓊は、小さな頼み事をするようになった。

此処へ来るついでに、食材を持って来てほしいと言う。

何をするのかと思ったら、霄瓊は申し訳無さそうに続けた。

「あの、静嵐に食事を作りたくて。いつも来てもらっていますから、お礼に。本当は内緒で作って驚かせたかったんですけど、私は此処から出られませんし」

更にすまなそうな顔で頭を下げる。

「その上、私はお金も持っていないので、余計な出費をさせてしまう事になって……。結局は何のお礼にもならないんですけど。でも、何か、何かがしたくて。貴方を待っている間に」

待っていてくれているのか、こんな自分を。

その言葉が、思いがけず嬉しくて。

けれど何を言えば良いのか分からなくて、黙ったままか細い少女を抱き締める。

一瞬驚いたように体を硬くした霄瓊は、やがてそっと背中に腕を回して服を掴んだ。

込められた力に、普段この少女がどんな気持ちでいるのかを思った。

共にいられる時間は限られている。

自分が知らない間に、一人きりで何を考えながら過ごしているのか。

白い壁に囲まれた部屋で、他に誰もいない時には。

霄瓊も押し潰されそうな不安や心細さに怯えて。

辛くて堪らなくて、涙を流したりするのだろうか。

そんな顔は、絶対に見せないけれど。

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