秘密.02


夜が訪れ、電気も点けていない店の中は真っ暗だ。

外の通りから届く僅かな明かりで、寄り添う二人の人影は何とか分かる。

黒曜は意識の無い静嵐と霄瓊を見て、苦しげに顔を歪めた。

二人が今、優しい夢を見ている筈は無いという事は分かっている。

それでも、知らないままであってはならない。

お互いの抱いた願いと、それを叶える為に何を犠牲にして来たのかを思えば。

せめて、共にいられる幸福を分かち合う位は許されるだろう。

全て自分の独断で、勝手なお節介だけれど。

それでも、二人がこのままでいるなんて見ている方が耐えられない。

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