秘密.33


だから、祈り続けた。

応えてくれるかは分からなくても、美鈴の言ったように想い続ければ引き合うかもしれない。

その一条の希望に縋り、日毎に夜毎に祈り続けた。

そして幾度か季節は巡り、バイトの帰りにふと何かに呼ばれるように入り込んだ裏路地で。

初めて見る大きな生き物を目にした。

危険を察知した瞬間、無意識の内に大切なあの名前を心で叫んで。

その声に応えるように、巻き起こる風から黒い翼を持つ影が現れた。

冷徹な光を放つ瞳が、何の感情も見せずに自分を見下ろす。

視線が交わって、祈りが通じたのだと思った時。

嬉しかったのか、悲しかったのかは自分でも分からない。

それでも、此処から。

全てを賭けて繋ぎ直った二人は始まった。





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