決意.02


目が覚めたら、頬に温かいものが流れていた。

手で触れてみて、それが自分の涙だと気付くまでに数秒掛かった。

泣いたのなんて、いつ以来だろう。

あの日からずっと、泣き方さえ忘れていたのに。

今胸を覆い尽くす、懐かしく切ない記憶が。

痛みと共に熱く迫って来て、涙が止まらない。

「……静嵐?」

柔らかな声が戸惑うように名前を呼び、それから温かな手がそっと頬に添えられる。

そこでようやく、自分の腕が少女を抱えたままなのを思い出した。

自分と契約し、底の見えない深さを持つ娘。

静と動の気配を持ち、苛立ちと安らぎをもたらす不思議な娘。

そして、かつて自分が何よりも願い求めた存在。

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