崩壊.13


今はもう、一人ではない。

その微笑みで、言葉で沢山の人を救い支えて来た。

だからこそ、この手を放したくない。

言葉に出来ない想いを込めて掴んだ手に力を入れると、霄瓊が振り向いて様々な感情が混ざった眼差しを注いだ。

それを何とかして読み解きたくて、静嵐は大きな瞳を見詰めた。

悪魔と天使の視線が交わり、時に言葉にするよりも確かな意志を伝える。

人間が生き残る為には、この手を放すべきなのだろう。

しかし、それは出来ない。

霄瓊が水底で眠りにつく事で、人に世界に僅かな希望が残るのだとしても。

やがては滅びへと向かって行くのなら。

決して掴んだ手を放さずに。

違う未来を切り拓いてみせる。

天使である少女の眠りを、自分は望まない。

訪れた選択の時に、流れに逆らう決意で挑む。





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