目覚め.12


出現した綻びで、時間を越えて空間が繋がる。

裂け目から溢れ出した水が、地下の駐車場を少しずつ満たして行く。

荒廃へと進む時の中で、ただ静かな瞳と向き合って。

秘められた心を読み解きたくて。

「未来を知る事、それは禁じられた行為。時の流れに逆らい、未来を変えようとすれば歪みを生む。悪魔と天使が惹かれ合うのも、普通ならば有り得ない禁じられた恋なのよ」

二人の様子を黙って見ていた美鈴が口を開く。

「でも既に様々な想いが願いが積み重なって、歪んだ先にこそ救いがあると信じさせる力を持ち始めているわ」

「……そうですね。君と僕がこうして会うのも、本来ならば有り得ない事だ」

そう言った黒曜に目を向け、美鈴は頷いた。

「ええ。けれど、今此処に沢山の想いと願いが集まっているわ。だから、今なら拓ける。心のままに、違う道を」

別離とは別の未来を。

滅びではなく、救済を。

幾つもの、数え切れない想いと願いが呼び寄せる。

世界を動かす程の強さで。

時を越え、永遠を越えて。

残酷な定めへと続く流れさえも変えて行く力となる。

徐々に大きくなって行く綻びから、白と黒の羽が舞い込んだ。

繋がった空間の向こうに、手を取り合う天使と悪魔の姿が見える。

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