06


「……何やってんの?こんな所で」

突然声を掛けられてはっとして振り向くと、両手に紙袋を提げた時雨が立っていた。

思い切り怪訝そうな顔をしているのが街灯の明かりで見える。

夏雪は目を見張り、慌てふためいて口を開いた。

「き、霧里君こそ……」

時雨はそう言った夏雪にちらりと目を向けてから、隣に腰を下ろす。

どさりと地面に置かれた紙袋には、ぎっしりとチョコレートの包みが詰められている。

「凄いね、それ」

思わず呟くと、時雨は興味無さそうに答える。

「こっちは迷惑だよ。一日追い掛け回されて、やっと逃げて来たんだから。食べたいなら、どれでも持って行きなよ」

「だ、駄目だよ!みんなは霧里君に食べて欲しくて用意したんだから、食べてあげないと」

「こんなに一人で食べ切れる訳無いだろ」

溜息をついた時雨は不機嫌な顔で続けた。

「それに本当に貰いたい奴から貰えなきゃ、バレンタインなんてうんざりするだけの行事だよ」

「え?霧里君、好きな人いるんだ」

- 6 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet