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『私は何にもいらないから、笑って音楽を楽しもうね。それだけで私は充分だよ』

深く息をついてそろそろ帰ろうかと思った時、ライブハウスの扉が開いた。

そして一人の少女が静かに入って来る。

一瞬玲歌かと思い、慌ててステージを降りた。

「あの、今日のライブはもう終わりましたけど」

「あ、そうなんですか」

声を掛けられて驚いたようにこっちを見た少女は、俺や玲歌より少し年下と思われた。

顔も似てはいないのに、どうしてあんな錯覚をしてしまったのだろう。

「此処で、ライブをやるんですか?」

尋ねられて我に返る。

「はい、そうですよ。此処に来るのは初めてですか?」

「ええ。散歩をしていたら何となく足が向かって、ふらふらと入って来たんです。もっと前から知っていれば、ライブを聴きに来れたんですけど」

少女は一つ息をついてから、俺に向かって微笑んだ。

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