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少女は静かな微笑みで続ける。

「私、小さな頃から心臓が悪くてずっと入院してたんです。心臓移植をしないと長くは生きられないって言われていて。今こうしていられるのは運良く移植手術に成功したからで、本当に感謝しなくてはいけない事ばかりです」

心臓移植。

その言葉に、俺は思わず少女を見詰めた。

少女は自分の左胸に手を当てて語る。

「笑われるかもしれませんが、手術が終わってから少し自分が変わったような気がするんです。それまであまり興味の無かった音楽を聴くようになったり、こんな風に自分が知らなかった場所に入ってみたり。気付くと歌を口ずさんでいたりして、自分でも驚いた事もありました」

俺は何も言えないまま心の中に浮かんだ可能性に戸惑った。

そんな事が、偶然がある訳が無い。

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Reservoir Amulet