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俺は黙ったまま、ポケットから次のライブのチケットを取り出して羽衣に渡した。

「これは?」

「次のライブのチケットです。これがあれば楽屋にも入れますから。良かったら来て下さい」

「え、いいんですか?」

「はい。もしかしたら俺達は出会うように定められていたのかもしれない。だから君に俺の音楽を聴いてもらいたいんです」

そう言って微笑んだつもりだったけれど、ちゃんと出来ていたのだろうか。

君が一瞬だけ戸惑うような瞳をしたから、あまり上手くは笑えていなかったのかもしれない。

それでも羽衣は優しい瞳で頷いてくれた。

「分かりました。必ず聴きに来ますね。幸希さんの音楽を」

「有り難う。待っています」

手を差し出すと、羽衣は躊躇いながらも白い手で握り返してくれる。

その小さな手は温かくて、不意に懐かしさがこみ上げた。

それは玲歌とライブハウスから手を繋いで帰った、あの温もりと同じで。

何かが、終わったと思っていた何かがまた始まるかもしれない。

そんな予感がした。





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