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『願うよ、いつも何処にいても貴方の夢が叶うように』

いつか来る別れを知りながら、自分はそこにいない未来を語り続けた。

『どうしても今言いたいの。私は貴方に、言葉しか返せないから』

『私が貴方を必ず解放します』

(華憐……)

『有り難う、蒼』

空に顔を向け、彼女の名を呟く。

「……華憐」

君を、守ってあげたい。

伸ばした腕は無力で、確かなものなんて何も無いけれど。

それでも君の流した涙を拭わせてほしくて。

泣きたい時には泣いたっていいんだと分かってほしくて。

その胸の痛みを、自分にだけは打ち明けてほしくて。

透き通る瞳を濡らす涙の理由を、教えてほしくて。

重いものを背負う君にどんな言葉を掛けたら良いのか、こんな自分には分からないから。

ただその震える手を握る事位しか出来ない。

黙って、側にいる事位しか出来ない。

でも、それでも。

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