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不意に背後で音がして、蒼ははっとした。

振り向くと静かな微笑を浮かべた紫陽が立っていた。

「信武さんにこちらだと聞いて来たのですが、お邪魔でしたか?」

「……いや」

「倒れた後に、長く外にいると良くないですよ。それに彼女の力が貴方に馴染むまで、まだ数日は掛かるでしょう」

「悪かった」

唐突な蒼の言葉に、紫陽が目を見張る。

「さっきは言い過ぎた。あんたを責める資格なんて、俺には無いよな」

「……いいえ。華憐の側にいてくれた事、感謝します」

蒼は目を伏せて息を吐いた。

「俺は、それしか出来なかったからな」

「辛い時に誰かが側にいてくれるより救われる事なんてありませんよ」

紫陽はそう言うと、空を見上げて続けた。

「華憐は貴方を待っているでしょう。もう一つの世界で」

蒼は前を見据え、少ししてから答える。

「……そうだな」

どうしようもなく君が愛しい。

離れる程に、君に会いたくなる。

だから行こう、君の元へ。





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