02
人気の無い荒れ果てた城に、再び足を踏み入れる。
そして、その広間に飾られた大きな鏡に近付いた。
「……これが?」
黙って後ろを歩いていた信武が尋ねる。
「ああ。俺が前に華憐と世界を渡った時、此処から道を開いた」
窓から射し込む月明かりが、鏡を照らし出す。
「それに今夜は満月だ。魔力が最も強くなる。今ならあっちへ行ける」
「ならば早く行って来い。そして華憐を連れて戻れ」
阿紋の言葉に、蒼は振り向いて皆の方を見た。
「じゃあ、行って来る」
「行ってらっしゃい」
「気を付けてな」
まるで散歩にでも行くような軽い挨拶を交わして、蒼が鏡に向き直る。
華憐のものだった暖かな力を身に纏い、手を伸ばす。
手が触れると、鏡面が水の波紋のように揺れた。
その瞬間、鏡から光が溢れる。
蒼は躊躇わず、光の中へと足を踏み入れた。
辺りが眩しい程の光に包まれ、やがて収まった時には蒼の姿は何処にも無かった。
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Reservoir Amulet