03
「……行かせて良かったのか?」
ずっと黙ったまま成り行きを見ていた大碓が低く呟く。
「はい。その為にわざわざ響に一芝居打ってもらったんですからね」
「俺は本気でびっくりしたんだぜ。響に魔力があるなんて初耳だったからな」
「当然だろう。あれは嘘だったんだ」
三人の間で交わされる会話に、信武と阿紋が向き直った。
「何を三人でこそこそ話してるのかな?」
「聞こえているぞ」
「そんなに怖い顔をしないで下さい。これでも事情があったんです」
紫陽は苦笑しながら手を横に振る。
「実際には華憐は貴方達と、蒼さんと離れたいと望んでいたんですよ。蒼さんが二度と自分を許しはしないかもしれないと承知の上で。自分は死んだと思ってほしかったのでしょう」
「では、華憐が向こうの世界にいると教えたのは……」
「僕の勝手な判断でしたが、信じてもらえて良かったですよ」
紫陽が息をついて続けた。
「敵である者の言葉は信じにくいものですから。けれど貴方達は強大な魔力を目にした後でしたし、魔力を持つ者の言葉なら信用し易いでしょう」
「誰もが混乱していた時だ。普段なら疑う内容でも信じてしまうのは仕方無い事だ」
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Reservoir Amulet