12
蒼が思わず黙り込んだ時、不意に部屋のドアがノックされた。
「蒼ー?何騒いでるの?」
「華憐!?」
慌てる蒼を余所に、信武が返事をする。
「華憐、入っていいよ」
「あっ、こら!此処は俺の部屋だぞ。勝手に通すなよ」
文句を言っている間にドアが開き、寝巻き姿で眠そうな顔をした華憐が入って来た。
「もう、また夜中に騒いで。明日は朝早いんだよ?」
「あ、ああ。分かってるよ」
「それで、何を話してたの?随分盛り上がってたみたいだけど」
「何って……」
言い掛けた蒼は寝癖がついたままの華憐を見て沈黙した。
「どうしたの?」
「あ、いや、何でもない」
「……変な蒼」
怪訝そうにそう言うと、欠伸をして蒼の隣に座り込む。
「おい、華憐?」
華憐は戸惑う蒼にもたれ、そのまま寝息をたて始めた。
どうやら無理矢理目を覚ましているのに限界が来たらしい。
「寝ちゃったね」
「相変わらず可愛い方だ」
阿紋が差し出した毛布を華憐に掛けながら、蒼は呟いた。
「ああ……そうだな。だが、この可愛い無邪気さは俺が急ぎ過ぎたら無くなってしまうんだろうな。俺は、今のままの華憐が好きなんだ」
だから大切にしたい。
自分の全てで。
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Reservoir Amulet