19


自分の中の残り少ない魔力を掻き集めて放ちながら叫ぶ。

「王家は国を、民を守る為に存在するの!その民が何もかも滅んでしまえばいいと望むなら、私がいる意味は無い!」

最後に残った魔力を使い果たした時、熱風が止んだ。

「私は、貴方の為に幸せな国を創る。ただ、それだけの為に此処にいるんです。紅零【こうれい】さん」

久し振りに本当の名前を呼ばれた紅零は、再び訪れた静けさの中で華憐を見詰めた。

自分よりも年下の、まだ幼さの残る。

優しくて、けれど気高い少女を見詰めた。

「……私は、そんな夢物語を見れる程愚かではない」

どれ程そんな国を願っただろう。

だが、そんなものは無いと悟った。

失ったものは決して返らないように、そんな国には辿り着けない。

国も人も、絶対に。

それなのに、どうしてだろう。

「夢物語のまま終わらせたりはしません。もう誰も、大切な人を犠牲にしない国を築きます。私が現実にしてみせます」

女王が、新たな王がこの国に降臨した事がはっきりと分かった。

この少女は国を再建するだろう。

愚かと思えるような夢さえ現実に変える、揺るがない強さで。

もう犠牲を許さない国を。

暖かで優しい国を。

「はい。……貴女の、望みのままに」

紅零はその場に膝をつき、誓いの言葉を口にした。

「貴女に忠誠を。女王陛下」

終わらない夜が明けて、光の下に集う。

冷たい夢から、希望の目覚めへと動き出す。





- 340 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet