dreamland.08


仕事が終わった後で、駅前へと向かう。

短い話ではなさそうだったから、華憐と改めて待ち合わせる事にした。

けれど少し時間が経って落ち着いてみると、何だか馬鹿な事をした気になってくる。

よくよく考えれば、他人の夢の中の光景を知っている筈は無い。

これまでに会った記憶なんてどんなに探しても出て来ないのだから、華憐が本当の事を話しているとも思えない。

『私の事を、覚えていますか?』

あの手の質問で気を引こうとするのはよくあるのに、動転してそのまま受け取ってしまった。

けれど華憐の様子が、嘘を話しているようには見えなかったのは事実だ。

軽く息をついた時、待ち合わせ場所の駅前の噴水が目に映った。

足を速めながら華憐の姿を捜すと、行き交う人々の向こうに一人佇んで噴水を見上げている髪の長い少女が見えた。

歩み寄ってすぐ側に立っても、華憐は噴水に見入っていて気付かない。

こうして暗い中で会ってみると、姿だけでなく雰囲気までが夢の中の少女に似ている。

信じられない位に。

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