nostalgiamind.20


やがて辿り着いた城には、全く人の気配が無かった。

伸び放題の木々で影になっている為か、城全体が暗く、かつて人が住んでいたとはとても思えない。

「……本当に、あのお話みたいになっちゃったね」

しばらく城を見つめていた華憐が、誰にともなくぽつりと呟いた。

「閉ざされた城の中、魔女に魂を売り渡した王女が民をたぶらかしては殺め、城の奥深くに埋めているって……」

鮮血で塗り込められた壁。

身に纏うのは血で黒く染まったドレス。

その怪しい美しさに魅せられて、魂を奪われた者達の夥しい骸。

全てを覆い隠した、死滅の城。

「でもね、此処が私の家だったの。此処に今も眠っているの。お父様もお母様も、私を庇って亡くなった沢山の人達も」

満足な弔いも出来ないまま、出て来てしまったけれど。

この場所で眠る人々は安らかに眠れているだろうか、それとも。

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