13


半ば信じていなかった御伽噺を辿るように旅を続けた。

そして、遂に着いてしまった。

「……まさか、本当にあるとは」

ライオスは一人呟きながら、城の様子を眺めた。

何度となく聞いて来た話にあったように、静寂で満ちた城は茨で覆われている。

侵入者を拒んだ証に、辺りには以前訪れた者の骸まで転がっている。

「これでは御伽噺どころか、夜眠れなくなる類の話ですよ」

文句を言いつつも入ってみようと思ってしまう自分が嫌になる。

こんな光景を見ても揺らがない自分の心も。

鉄条網のように絡み合う茨を断ち切ろうと腰に帯びた剣を抜いた時、音も無く道が開いた。

茨は左右に分かれ、ライオスに城へと続く道を示している。

「……歓迎されているようですね」

ライオスは剣を収め、この百年誰も足を踏み入れなかったであろう地へと入った。

静けさに満たされた長い階段の果てにある城内への扉も、大きく開かれていた。

湿った空気を感じながら、更に奥へと進む。

城の中に、人の気配は無い。

聞いて来た話では当時城にいた者全員が眠りについたという事だったが、実際にはそうではなかったようだ。

百年もの間、語り継がれて来た話だ。

事実と違う部分があっても不思議ではないが。

薄暗い城の中を歩きながら、ライオスはふっと息を洩らした。

ずっと眠り続けている姫がいるというのも疑わしいと思うのに。

仮にいたとしても、自分が起こせるかどうかは分からないのに。

それでも、会ってみたくなるのは何故だろう。

何度自身に問い掛けてみても、答えは明白だ。

ただ、聞いてみたいのだ。

百年の時を止めた乙女の唇から、今はもう誰も知らない物語を。





- 13 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet2