05


「……いいえ、とんでもない。ただ、面白いお話だと思いまして」

微笑を浮かべて答えると、店主の女性が改めてライオスを見て言う。

「でもあんた、いい男だねえ。あんたの口付けで目覚められるなら、お姫様も幸せだろうね」

「おいおい、亭主がいない間に浮気はいけないよ」

「浮気なんか、しやしないよ。家の人は、今も立派に戦ってるんだからね」

彼女が店を仕切っているのは、やはり主人が戦争に出ている為か。

ライオスは微かに溜息をついてから、話を戻した。

「もし宜しければ、先程のお話を詳しく教えて頂けませんか?」

「ああ、いいよ。あたしも子供の頃に親から聞いた、御伽噺みたいなものだけどね」

「夢があっていいじゃねえか。戦争の話なんて、もう聞き飽きたし。なあ、兄ちゃん?」

「ええ、そうですね」

隣の客に頷き返しながら、ライオスは密かに自嘲の笑みを浮かべる。

御伽噺に縋るとは。

自分は何処まで諦めが悪いのだろう





- 5 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet2