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年若い二人を視界に収め、満足そうに続ける。

「未来は託そう。私も出来る限り力を貸す。美しい世界を信じるままに、創り守り後に残すが良い」

「王……」

信じられない気持ちで厳格な父親を見返す内に、不意に歓びが込み上げた。

ああ、やっと。

やっと、認めてもらえた。

そして、やっと。

ライオスは隣に立つアウローラを引き寄せて抱き締めた。

柔らかな髪を肌に感じながら囁き掛ける。

「やっと、声が聞けましたね。思っていた通り、可愛い声だ。私の願いを叶えてくれて、有り難うございます」

初めて彼女の唇から聞いた言葉は、世界は美しいだった。

泣きながら信じている彼女の為にも、自分に出来る限りを尽くしたいと心から思った。

いつか、確信を込めて語りたいから。

世界は美しいと。

泣きたくなる程に美しい、光に満ち溢れているのだと。

その為にも、此処から始めよう。

泣きながら信じて抱き締め合うこの時から。

この歓びの涙を誓いに変えて。

始めて行こう、此処から。





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