03
朝日が眩しい外に出て、思わず目を細める。
ライオスは明るい日射しの中、城の庭へと足を向けた。
色とりどりの花が咲き乱れる庭には、歓喜が満ちていた。
無邪気に笑う子供達の姿。
それを見て微笑む一人の乙女。
思い思いに腰を下ろす子供達の中心で、アウローラは優しい瞳で話をしている。
彼女は毎日のように、此処で語り続けているのだ。
自分の知る、平和な世界を。
世界がどんなに美しく、希望で溢れているのかを。
未来を担って行く子供達に、懸命に訴えているのだ。
この場所からは、笑顔が絶えない。
それは確かに力となり、陽光のように辺りを照らし出す。
胸が暖まる光景を目にする度、自分のしている事は無駄ではないと確信出来る。
どんな哀しみがあるとしても、その先にはきっと。
歓びが待っているのだ。
今優しく語り続けているアウローラも消えない傷を抱いていると、ライオスは知っている。
声を聞かせてくれるようになった彼女は、少しずつ昔の事を話すようになった。
長い眠りにつく前の、百年前の真実を。
そこには、驚くような内容も含まれていた。
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Reservoir Amulet2