08
彼女は、自分の事をどう思っているのだろう。
旅の間は兄妹で通していた。
あのルセスも今では妹のように可愛がっているし、厳格な王でさえ娘のように気に掛けている。
アウローラが家族に馴染んでくれるのは嬉しい。
しかし、自分はどう思われているのだろうか。
側にいると笑ってくれるから、少なくとも嫌われてはいないと分かるけれど。
やはり、兄のような存在だろうか。
それ以上ではないだろうか。
「……?」
自問自答をしていると、アウローラが不思議そうに首を傾げた。
その無邪気な表情を見て息をつき、再び口を開く。
「では行って来ますね。明日はゆっくり出来ると思いますから」
時を越えて目覚めた姫はこくりと頷くと、見とれるような微笑で手を振った。
「行ってらっしゃい、ライオス」
澄んだ声で名前を呼ばれると、胸が高鳴る。
自分の名さえも、特別な響きを帯びるようで。
彼女の声が聞けて笑顔が見れる事が、本当に嬉しい。
「行って来ます」
手を振り返して背を向ける。
名残惜しいが、やる事は沢山あるのだ。
あちこちを飛び回っての説得や状況の確認。
今は何とか休戦へと持ち込めたばかりで。
まだまだ、描く未来には遠いのだから。
そう思って顔を上げた時、耳に旋律が届いた。
流れる歌声に、我知らず笑みがこぼれる。
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