12


夕闇が落ちる頃、城の庭へと帰る。

こんな時間だし、彼女はもう部屋に戻っているかもしれないが。

集まっていた子供達は皆家へ帰ったらしく、朝とは違い静けさが満ちている。

いつも彼女が座っている辺りまで来て、思わず足を止める。

次第に深まって行く薄紫の光の中、花に抱かれて眠る姫。

絵画のような光景を目にした瞬間、鮮明に記憶が蘇った。

数年前の、あの日。

静寂だけの薄暗い城の中。

豊かに流れる金の髪、抜けるように白い肌。

まるで人形のような、整った寝顔。

百年の時を止めた乙女の実在を知り、感じたのは歓びと。

起こす事への躊躇い。

湧き上がる様々な感情を抱きながら、歩み寄って膝をついた。

あれが、始まりだった。

あの時と同じように側へ行き、苦笑する。

「全く、無防備ですね」

一体どうして、こんな所ですやすやと寝息をたてているのだろう。

誰かを待ちくたびれて眠ってしまった、そう考えるのは自惚れだろうか。

- 68 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet2