18
歌い継ぐ旋律のように、語り継ぐ御伽噺のように。
いつか遠い未来に、見た事も無い空の下で。
蒔き続けた種が芽吹くかもしれない。
美しく花開くかもしれない。
そのしなやかな強さこそ、人が秘める力なのだ。
襲い掛かる残酷な現実に、自分が無力だと責める必要は無い。
何も出来ない情けないと嘆く必要など無い。
人はただ、毎日を懸命に生きて行くだけで良い。
大きな特別な力なんて無くて良い。
生きている、そこにいてくれる。
ただ、それだけで。
その尊い生そのものが、心に満ちる想いが。
誰かの、世界の力になって行くのだから。
「私達はいつまでも夢を見て、語り続けましょう。美しい世界の御伽噺を」
アウローラの浮かべた微笑みは、最初に会った頃のぎこちないものとは違った。
心から嬉しそうな、幸せそうな表情。
頷いたアウローラを抱き締めながら、ライオスは空を見上げた。
濃紺から夜の闇色へと変わり行く空には、星一つ。
人に比べたら遥かに長く瞬くあの星が、いつか平和な世界の上に輝く日は来るだろうか。
それはまだ、分からない。
長きに渡り戦い続けた世界は未だ、平和へは遠い。
しかし、諦める理由など無い。
理想を掲げ、意志を貫く。
何度絶望しようとも、夢を語り続ける。
美しい世界を、一人でも多くの人が信じてくれたなら。
その想いは、築かれるささやかで確かな礎となる。
続いて行く世界の物語に、いつか必ず平和は記されるだろう。
- 74 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet2