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神などいない。

悲痛な叫びが貫いたのは、寒い冬の日。

各地の神が出雲に旅立つと言われる月。

空気の冷たさが身を切るように感じる神無月。

それでも全てが暑かった。

包み込まれるのは狂おしい朱【あか】。

凍る大地を溶かして舐め尽くす。

胸の痛みが切り裂くように。

無情な冬空に叫びは消えて行く。





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Reservoir Amulet2