03
父の事も母の事も、何一つ覚えてはいないけれど。
それでも、今の自分を見たらきっと哀しむだろう。
このままでいいのだろうか。
このまま、奪って殺すだけを繰り返していて。
昔自分を生んだ親は、そんな人生を望んではいなかった筈だ。
朱い炎に包まれる亡骸から目を逸らし、初めて自分の行いを悔いた。
初めて呟いた。
ごめんなさい、と。
そして、その晩に盗賊団を抜け出した。
脱走は決して許されない。
見逃してはもらえない。
そう分かっていても、今のままでいるよりはいいと思った。
案の定、すぐに追っ手が掛かった。
斬り付けられ、急所は外れたが重傷を負った。
死んでもいいと思っていたのに、体は無意識に刃を避けた。
その直後、後ろにあった崖から転落したおかげで、何とか場を逃れる事が出来た。
それから朦朧とした頭で山中を彷徨い、力尽きて倒れたところを彼女に助けられたのだ。
自分の名は、彼女が好きだと話した冬の凍るような美しい月ではない。
そんな綺麗なものではない。
似ても似つかない。
盗賊団の中で付けられた呼び名は朱月【しゅづき】。
拾われた時の、血を浴びた姿から付けられた。
血塗れた朱い月なのだ。
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Reservoir Amulet2