07


生まれて来なければ良かった。

もしも神がいるのなら、何故こんな自分に生など与えた。

無情な灰色の空に、叫びは消えて行く。

止まらずに涙は流れる。

炎を映し、血のように朱く朱く。

呪わしく忌まわしい朱は激しさを増す。

それは彼女と歩いた道に降る落葉の朱よりも狂おしく。

並んで見上げた夕焼けの朱よりも熱く。

二人向き合って語った囲炉裏の炎よりも遥かに無慈悲に。

このまま全てを舐め尽くして。

罪深き存在を消し去ってほしい。

何処までも、朱に包まれて。

朱い月が流すのは、朱き涙。

届かぬ氷の光に焦がれ、泣き叫ぶ魂の色。





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Reservoir Amulet2