05
もう一度、此処から生きてみろと。
人知れず抱いていた夢を、認めてくれているのだろうか。
届かず消えて行った言葉は。
言えないままになった想いは。
奇跡さえも起こす強さを、与えてくれるのか。
朱き涙を流しながら尚、捨てられない儚い夢。
暗く寒い夜に一筋の光を投げる月になりたい。
朱い月は君の愛した氷の光を求め、夢を見る。
いつか君に届くように。
燃え上がるのが、どうか激しく優しい願いであるように。
待ち受けるのが、どうか静かな安らぎの日々であるように。
再び始まる。
苦しみと、歓びの生が。
その旅路を君と行きたい。
朱い月は君が呼んだ氷を名乗り、生まれ変わる。
遠い冬の空の下で。
神無月の光の中で。
- 21 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
表紙へ
ページ:
Reservoir Amulet2