23


凍り付いた冷たい心を、そっと包んで溶かすように。

言葉は沁みる。

奥深くまで、沁み渡る。

「知っている貴方も知らない貴方も、私は大好きです。お父さんも勇さんもひかりさんも翼さんも……皆。皆、氷月さんが大好きなんですよ」

『私、貴方を……ほんの少ししか知らないままだったけど……。それでも知っている貴方も知らない貴方も、全部……全部大好きだよ』

自分が生きている意味を問い質す時に、出会う優しい人。

暖かな人達。

自分は、なんて恵まれているのだろう。

躊躇いがちに手を動かして、微かに震える神無の肩に触れる。

「……有り難う、神無」

生きている限り、後悔を繰り返すかもしれない。

けれどそれでも、譲れないものはある。

この温もりを、自分は失えない。

激しい願望が燃え上がる。

守りたいと。





- 103 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet2