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千切れそうな程に、切なく苦しい。
この感情を、何と呼べば良いのだろう。
「何か、あったのか?」
気が付くと、氷月が至近距離から顔を覗き込んでいた。
すぐ側にある冬の月のような瞳に、息が詰まりそうになる。
「いえ、何でも」
急いで首を振り、笑顔を作って話題を変える。
「氷月……さんは、何処かにお出掛けだったんですか?」
「うん、ちょっとね」
氷月はごく自然に笑って続けた。
「まだ冷えるけど、日射しは大分暖かくなったね。今度、一緒に出掛けようか」
「ええ、是非」
頷いて頭を下げ、入れ代わりにエレベーターに乗り込む。
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Reservoir Amulet2