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下降を始めた箱の中、思わず溜息が洩れた。

疼く痛みは、今のものか過去のものか。

分からないけれど、あの微笑みは。

自然にこぼれた氷月の微笑みは、とても嬉しい。

向けられる相手が、果たして自分で良いのか。

それを考え出すと、泣きたくなるけれど。

一階に着いてエレベーターを降り、宿舎を出て研究施設の方へ歩き出す。

神無がいつも此処でしているのは戦闘訓練の指導や事務、影魂について寄せられたデータを集める事などだ。

実際に時空間移動制御装置を見たり、直接研究に携わったりはしない。

それをしているのは本当に一握りの研究者だけで、自分がそこに加わっていない事に疑問を持ったりもしなかった。

でも、考えてみるべきだったのではないか。

何故ろくに専門知識も持っていない自分が、此処にいるのか。

装置がある場所から、なるべく遠ざかるように生活しているのか。

考えるのを避けていたのか。

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Reservoir Amulet2