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「……氷月」

黙って話を聞いていた鏑が、不意に身を乗り出した。

そして、伸ばした手を氷月の頭の上に置く。

「俺には何も言えない。けどな、これだけは分かる。お前が、必要以上に自分を責める事は無いんだ。まだ子供だってのに、よく……」

鏑はそこで言葉を詰まらせた。

哀しそうで優しそうで暖かい瞳が、氷月を見詰める。

「よく、今まで生きていてくれたな」

もしも、父親がいるなら。

こんな感じなのだろうか。

頭に乗せられた手のひらの温かさに、深い瞳の暖かさに、ふとそんな事を思った。

もしも、昔。

時の向こうで出会ったのが頭領でなく鏑だったなら。

今の自分は全く違ったのかもしれない。

そうだったら良かったのに。

鏑が父親だったら良かったのに。

取り留めも無く、そんな事を思った。





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Reservoir Amulet2