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笑ったつもりだったけれど、ちゃんと出来ていただろうか。

もう、体から力が抜けて行く。

目を開けていられない。

貴方の顔を、見られなくなってしまう。

「……神無」

名を呼ぶ声が聞こえるけれど、応える事も出来ない。

落ちた腕が地面に当たっても、痛みすら遠い。

ああ、本当にこれでお別れか。

霞んで行く意識でそう思った時、叫びが響いた。

言葉にならない、魂の全てで叫んでいるような声。

きつく抱き締められ、泣き叫ぶ彼を感じた。

こんなにも、こんなにも哀しませてしまうなんて。

どうか、泣かないで。

終わらない慟哭に、胸が張り裂けそうになる。

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Reservoir Amulet2