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『くっ……。この影はこれまでか』
突然、力を失ったように影が揺らいだ。
それはみるみる薄くなり、空気にかき消えるように見えなくなった。
『覚えておけ、氷月。我には勝てぬ』
最後に風に乗り、呪詛のような声が届く。
氷月は素早く視線を巡らし、糸の先を確かめようとした。
無数に絡み合い伸びる黒い影のような糸は、高い天で一つに集まって行く。
そして唐突に、ふっと見えなくなった。
「……やれやれ。氷月、どうかしたか」
息を吐いた鏑が尋ねて来る。
どうやら、あの糸は見えなかったらしい。
氷月は手元の太刀に目を向けて言った。
「この太刀に祈祷をしてるのって、天承さんだったよね」
「ああ。あの美人の巫女さんだな。急にどうした?」
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Reservoir Amulet2