17
固く手を握り合う二人を、朱い夕焼けが包み込む。
朱く朱く染め上げて、澄み渡り。
いつか、焦がれた銀の光になれるだろうか。
「悲劇を、そのまま悲劇の結末で終わらせたりはしない」
「塗り替えてみせる。私達の想いで」
どんな哀しみも、意味のあるものへ。
淀み固まる思念を、想いで塗り替える。
神などいないと泣き叫んだ冬の空を。
無情で惨状だらけのこの世界を。
そのままで終わらせたくはない。
泣き叫ぶ生だからこそ、いつか幸あれと。
足掻き続ける道程に、優しい月があるように。
これまで辿って来た全てを、自身の内に昇華して。
黒く淀む思念ではなく、白く美しい想いを。
この世界はまだ滅ぶべきではないと思うから。
息衝く無数の想いを信じ、清める。
時を越えて残って行く想いを、力にする。
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Reservoir Amulet2