16


どうしてこんなにも美しい人が、側にいてくれるのだろう。

自分の方に、手を伸ばしてくれるのだろう。

こんな美しく、優しい人が。

溢れそうになった涙をこらえ、ゆっくりと腕を伸ばす。

やがて触れた神無の手を、しっかりと握り締めた。

一度は失われて、もう戻らないと思っていた温もり。

熱い感情が、願いが燃え上がる。

静かで強い炎のように。

天まで届きそうな程に、狂おしいまでに。

燃え盛り、渦を巻く。

守りたい。

守り抜きたい、ずっと側で。

「……僕達がする戦いは、あの悲劇を無かった事にする為じゃない」

誓いを込めて言うと、神無も頷いた。

「その先にある幸せへ、辿り着く為に」

あの慟哭さえ、意味のある事だったのだと。

全てはいつか待っている筈の幸いへと還る為に。

- 202 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet2