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人の物を奪って生きる盗賊のやり方は徹底していた。
捕らわれる事の無いよう、自分達のいた形跡は絶対残さない。
目撃した者は殺す。
家でも村でも、火を掛けて跡形も無く。
自分達の痕跡は全て消す。
その中である日、泣きながら幼い子供を庇う母親の姿を見た。
どうかこの子だけはと頭を下げる姿に、一瞬躊躇いが生まれた。
自分にもこんな風に、命を掛けて守ろうとする母親がいたのだろうか。
朱い血の海の中、子供を抱き締めたまま倒れる亡骸を見て初めて思った。
父の事も母の事も、何一つ覚えてはいないけれど。
それでも、今の自分を見たらきっと哀しむだろう。
このままでいいのだろうか。
このまま、奪って殺すだけを繰り返していて。
昔自分を生んだ親は、そんな人生を望んではいなかった筈だ。
朱い炎に包まれる亡骸から目を逸らし、初めて自分の行いを悔いた。
初めて呟いた。
ごめんなさい、と。
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Reservoir Amulet2