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「確かにお前は、若いもんにしてはしっかりしてる。だがな、まだ神無をくれてやると言った覚えは無いぞ」
「はあ?」
「いいか。もし真剣な気持ちで神無と付き合いたいなら、まずはこの俺と話を……」
「あんた、さっきから何の話してるんだよ」
氷月は溜息をついて口を挟んだ。
「ただ、一緒に映画を観てただけ。あんたが借りて来たって言ってたけど」
「映画?あー、あれか。そういえば、お前と観ても良いかって訊かれたっけな」
思い出したように頭をかいた鏑が、落ち着きを取り戻した声で尋ねる。
「じゃあ、神無はどうしたんだ?」
「寝てるよ。遅くまで起きてたからね」
「そうか。ならお前は、こんな時間に何処へ行くんだ?お前の部屋は向こうだろ?」
「剣の練習。ちょっと体が鈍ってるような気がするし」
言い残して立ち去る氷月を見送って、鏑は一人呟いた。
「……今はまだ、恋をしてる余裕は無いか」
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Reservoir Amulet2