16


「確かにお前は、若いもんにしてはしっかりしてる。だがな、まだ神無をくれてやると言った覚えは無いぞ」

「はあ?」

「いいか。もし真剣な気持ちで神無と付き合いたいなら、まずはこの俺と話を……」

「あんた、さっきから何の話してるんだよ」

氷月は溜息をついて口を挟んだ。

「ただ、一緒に映画を観てただけ。あんたが借りて来たって言ってたけど」

「映画?あー、あれか。そういえば、お前と観ても良いかって訊かれたっけな」

思い出したように頭をかいた鏑が、落ち着きを取り戻した声で尋ねる。

「じゃあ、神無はどうしたんだ?」

「寝てるよ。遅くまで起きてたからね」

「そうか。ならお前は、こんな時間に何処へ行くんだ?お前の部屋は向こうだろ?」

「剣の練習。ちょっと体が鈍ってるような気がするし」

言い残して立ち去る氷月を見送って、鏑は一人呟いた。

「……今はまだ、恋をしてる余裕は無いか」

- 58 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet2