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やがて神無が足を止め、手を上げて戸口の一つを叩いた。

中から鏑の声が聞こえると、神無は戸に付いている取っ手をひねった。

硬い音がして戸がこちら側に開かれ、促されて中へと入る。

座って何かを読んでいた鏑が、顔を上げて氷月に目を向けた。

「お、結構似合ってるじゃねえか。俺の美的センスに感謝しろよ」

「扇子?」

どうして此処で扇子が出て来るのだろう。

氷月が疑問に思っていると、横から呆れたような声がした。

「わざわざ混乱させるような事を言わないで下さい」

苦笑を浮かべた神無は、氷月を見て続ける。

「気にしないで下さいね。貴方は少しずつ、こちらに慣れて行って下されば良いんです」

「分かった」

二人の様子を見ていた鏑が何故か笑って立ち上がり、改まって口を開く。

「さて、氷月。お前、こっちの事はどれ位知ってる?」

「……僕がいた頃から何百年も経った時だっていう事位しか知らない」

「ああ、そうだ。お前は俺達にとっては過去に生きていた人間、此処はお前にとっては未来の日本だ」

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