02


今日は大晦日、一年が終わる日だ。

協力して何とか鏑の部屋の大掃除まで終わらせた氷月と神無は、見回りを兼ねて買い物に出掛けた。

いつも行くスーパーには、今日も大勢の客が来ている。

「……何だか、皆同じような物を買ってるみたいだね」

「え?ええ、そうかもしれませんね。お蕎麦とか、お餅とか……。私達も忘れずに買って行きましょう」

「色んな風習があるんだね」

神無は、隣でカゴを持つ氷月を見上げて尋ねた。

「氷月さんが以前いた所では無かったんですか?」

「どうかな。あったのかもしれないけど、分からない。ずっと、それどころじゃない生活だったし」

何気無く告げられた言葉を聞いて、神無は一瞬だけ動きを止める。

それから、微笑んで明るく言う。

「これから一緒に、色々な行事を楽しみましょうね。こちらには楽しい事が、まだまだ沢山あるんですよ」

「……そうだね」

今も尚、逃れられない朱い記憶は胸を締め付けるから。

穏やかな笑顔を向けられる度、泣きそうになる。

こんな日常を送る事が、自分にはあとどの位許されているのだろう。





- 82 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet2