09


悔やんでも悔やみ切れない、無数の過ち。

今も目を閉じれば、視界は朱色に塗り尽くされる。

「そうか……」

鏑は深く息を吐いてから、明るい調子で言った。

「ま、とにかくお前は俺の部下って事にしとく。まずはこっちに慣れてくれ。それからどうするかは、お前が決めれば良いからよ」

「分からない事があったら、私に何でも訊いて下さいね。氷月さん」

神無の優しい笑顔を見返した時、胸の疼きは激しさを増した。

この優しさに甘えては、また過ちを繰り返してしまうかもしれない。

氷月は目を逸らして低く呟く。

「……あんたら、おかしいよ。僕に何をさせたいのか分からないけど」

顔に浮かぶのは、自嘲の笑み。

誰よりも自分自身を許せない者の。

「僕が今まで、どんな生き方をして来たのか知らないだろ。もう何人殺めたか分からない。どれだけの血を浴びて来たか分からない。そんな奴に頼み事なんて、どうかしてるよ。関わらない方が身の為だ」

「……ガキが偉そうな事を言うんじゃねえよ」

鏑は怒ったような口調で続ける。

「お前、まだ若いだろ。幾らでもやり直せるんだよ。後悔出来る内はな」

そう言い残して部屋を出て行く。

- 9 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet2